【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「沙耶、俺を見ろ」
その言葉に、そろそろと視線を戻すと、真剣な瞳をした優悟君の瞳に私がうつる。
「日名子のような人間もいるし、金や権力が渦巻く俺のいる世界はきれいで、穏やかな世界なんかじゃない。沙耶が望んだ平凡だけど幸せな生活とは程遠いかもしれない」
そこで優悟君は一度言葉を止めた。
「5年前はまだ先の事だから、今日までもまだまだ先だからと思っていた。だからゆっくりと沙耶との関係を深めてからそう思っていた。でも、あの頃より周りを仕事で納得できるような人間になったと思う。だからどんな時も俺が沙耶を守るから。俺とずっと一緒にいて」
まるでプロポーズのようなセリフに、私はすっと涙がこぼれる。
もう一度付き合いだしてからも不安がなかったと言えばうそになる。
初めて、すべてを見せてくれた優悟君の覚悟が嬉しかった。
「はい」
泣き笑いで微笑んだ私に、優悟君もホッとした表情を浮かべた。
そっと近づいてきた優悟君の唇が私に触れる。
甘くて、電流が走るようなこの感覚は昔と変わらない。
そのままキスが深くなり、私も優悟君の首に手を回した。