【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「なんだ。もう会ったの。やえさんと話をして、もしも両方に相手がみつからなかったら、結婚させればいいよねって言ってたのよ」
やえさんというのは、もちろん大ちゃんのお母さんだ。

「待って!お母さん、ちょっと!」

「沙耶だって、あんなに仲が良かったし、まんざらでも……」

「お母さん!待って!私お付き合いしている人がいるの!その話をしに帰ってきたの」
その言葉に、お母さんも、お父さんお驚いたように言葉を止めた。

「あのね、今結婚を前提にお付き合いしている人がいるの」
静かにいった私は、お母さんがきちっと正座をしたのをみて、私も慌てて背筋を伸ばした。

「もうプロポーズはされたの?」
喜んでもらえるとばかり思っていたお母さんの冷静な言葉に、私も言葉が小さくなった。
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