【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「5年前、私の若さゆえに沙耶さんを傷つけました。しかし私は誓って沙耶さんを裏切るようなことはしていません。そして今も中途半端な気持ちでお付き合いはしておりません」
優悟君は簡単に自分の未熟さで、私を信じることができなかったこと、誤解があったことを話した。
「5年前の事はわかりました。しかし君は立場ある人間だと聞いた。そんな人が……」
お父さんは、変わらず表情無く、優悟君に問いかけた。
「確かに私の父も、そして私も立場のある仕事をしています。でも沙耶さんの前ではただの自分に戻れるんです。沙耶さんは私にとってたった一人の人です」
そう言うとおもむろにカバンから何かを取り出した。
「沙耶、ご両親の前で誓う。苦労を掛けるかもしれない。でも2人で今までのように乗り越えていきたい。幸せにする」
そういって私の目の前に、四角い箱を差し出した。
「俺と結婚してほしい」
キラキラとひかるダイアモンドの指輪は、5年前もらった指輪とそっくりだった。
「はい……これは本物?」
こんな状況なのに、くだらないことを言ってしまった私に、優悟君は苦笑すると、「当たり前だろう」とあきれたように言った。