【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「秀さん、前菜とパスタもう一つづず……え?常務!!」
「あっ、涼真!あとね、沙耶さんに何かお茶……常務!!」

「常務」という言葉が重なったと思ったら、その二人はピシっと姿勢を正した。

俺がまだ沙耶の上司だったころ、隣の部署にいた二人だとわかり、俺は冷静さを取り戻すと常務の顔を作った。

「おつかれさま。ここに……」
俺の言いたいことがわかったのだろう、二人は慌てて「あの……あっ、すぐに」などと繰り返していた。

「どうしたんですか?」
その言葉が聞こえたと思ったら、目を真っ赤にした沙耶が現れた。

「沙耶!」
「優悟君……」
そう呟いたと思ったら、沙耶の瞳から涙がぼろぼろと零れ落ちる……。

あっ……。その涙とこのメンバーをみて完全に俺の勘違いだったとわかり、泣かせたのは俺だと分かった。

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