【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
このまま押し倒したい気持ちを抑えて、俺は彼女に柔らかくキスをする。
一緒に住み始めて、もう一年ほどになるが、
この間、沙耶と旅行すら行っていなかったことに反省する。
結婚式なども目前に控えていて、なかなか今の立場上、いつ休みが取れるかわからなかった。
そのため、人気の宿に予約を入れるのも難しく、系列のホテルを秘書に取ってもらっていた。
佐伯の名前を使いたくはなかったが、それは仕方がないと諦めた。
「準備できたよ」
嬉しそうな沙耶を見て、俺も笑顔を向けた。
「支度して。一泊しよう」
そう答えれば、沙耶はガバッと顔を上げた。
「お泊まり?」
その答えに、どれだけ俺のために我慢をしていてくれていたかがわかる。
「ああ。たまには、沙耶も家事をしない日があってもいいだろ?」
笑顔で答えれば、沙耶は嬉しそうに俺から離れていく。
「すぐに支度するね」
リビングを出て行く沙耶の後ろ姿を見ながら、俺はもう一度席に着き、
沙耶が作ってくれた朝食をもう一口食べ始めた。