【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「ユウ」
凛とした中にも甘さを含むその声の方を見れば、タイトなワンピースがとてもよく似合っている、モデルのような女性だった。
「マリカ、お前も来たの?」
アランさんが少しだけ口角を上げて、その女性に視線を送る。
「来たらいけなかったの?」
冷たい口調でマリカと呼ばれた女性がアランさんをにらめば、アランさんは肩をすくめた。
「ユウ、久しぶりね」
「ああ」
ユウというのが優悟君のことだと、ようやく私はそこで気づいた。
優悟君の返事と表情からして、その人はあまり歓迎する相手ではないのかもしれない。
彼女とあまり視線を合わせないようにしているのが、一目で分かった。
「アラン、彼女気に入ったの?」
私に視線を向けつつ、マリカさんは遠慮なく私の頭から足先まで視線を送る。
それはもちろん、気持ちのいいものではない。
「まあね」
アランさんは軽い口調で答えると、私の方へと歩み寄る。
「アラン、お前でも許さない。沙耶に触れるな」
言われていない私ですら息を呑みそうなその迫力にも、アランさんは特に表情を変えない。
そんなアランさんに諦めたのか、優悟君は小さく息を吐くと私を見た。