【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「いきなり日本に帰ってすぐ、どうやって御曹司に取り入ったんだ?」
その質問に私はポカンとしてしまう。
ただ結婚するという話だけを聞いていたのだろう。昔からの知り合いだとか、いろいろあったことなど知らないのだ。
「それに、君に優悟を守れるのか? これからもっと責任も増えて、プレッシャーもすごい世界だ。そんな場所に、たかが一介のその辺の女が務まるとでも思ってるのか?」
図星を言われて、私はキュッと言葉を止めた。
私だってそう思うからこそ、一生懸命努力はしている。
しかし、優悟くんの世界の人に言われてしまった。
私じゃダメなの?
そうは思うも、再会して優悟くんと心を通わせたとき、どんなことがあっても諦めない、もう絶対に彼と離れないと決めた。
反論する言葉を考えていると、今までとは違う冷たい彼の言葉が響く。
「マリカならその妻の座を完璧にできる」
そのセリフに反論しようとしていた私の気持ちが、急激にしぼんでしまう。
「何も言えないのか?」
嘲笑うように言われたそのセリフに、なんとか言葉を絞り出す。
「そんなことない……」
「気にならないのか? 二人の過去が」
確かに、あの意味深な二人の空気と会話が気にならないと言ったら嘘になる。