【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら


「沙耶、行こう」
「え? ちょっとどういうこと?」
みんなの顔を見渡しながら言えば、マリカさんも何も言わず佇んでいる。

引きずられるようにされつつも振り返り、二人を見れば、何かを話しているのが分かった。

部屋へと戻ると、優悟くんはドサッとソファへと腰を下ろし、私に視線を向けた。

「どうしてこんなところで会うんだよ……」
ぼやくように言った後、優悟くんは目の前に立っていた私の手を引くと抱き寄せた。

「沙耶、ごめん、不安にさせたよな」
「うん……」
あの意味深なセリフや、あの兄妹とのこと、不安になったのは事実だが、一番の問題は私自身、自信がないことかもしれない。

そのことに気づき、私も飛び出した時のようなモヤモヤした感情はなくなっていた。
優悟くんが裏切らないことなど分かっていたし、もしも過去に女性がいてもそれは過去だ。

それにこだわるのは自分自身の問題だ。

そう思い、彼の腕から離れると、私も頭を下げる。
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