【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「私こそごめんなさい。ヤキモチなの。ただ、マリカさんみたいに完璧な人がそばにいたんだって……」
きちんと話をしなかったことでこじれてしまった私たちだ。
これからは何でも不安も話し合っていく、そう決めたのに、やっぱり人の心は複雑で難しい。
「マリカさんみたいに、私、家柄も良くないし、自信もなくて……」
「沙耶、それは」
優悟くんが私の言葉を否定するのを待たず、私はギュッと彼のシャツを握った。
「でもね、私、これから努力して優悟くんの隣にきちんと立てるようにするし、過去の女の人よりも素敵になるから。だからずっと隣に……」
話の途中だったが、それがいきなり遮られる。
それが優悟くんのキスで封じられたことに、ようやく気付く。
激しく角度を変えて落とされるキスに思考がぼんやりとしたところで、彼はそっと唇を離した。
「沙耶、もう今のままで十分すぎるよ。俺にはもったいないぐらい」
苦笑しつつ私の額に自分の額をくっつけると、優悟くんは私に語り掛けた。
「俺は沙耶がいるから頑張れるんだよ」
柔らかな、大好きな笑みを浮かべた優悟くんの言葉に、嘘はないと信じられる。
「私もだよ」
フフッと笑いながら、私たちはまたどちらからともなく唇を重ねた。