【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「久しぶりに見ました……。その笑顔。ずっと再会してから作り笑いに見えてたから……」
呟くように言ってしまって、私は慌てて口を押えた。
そんな私の言葉に、部長は少し表情を曇らすと、ぶつけた私の頭をそっと撫でた。
「そっか。そうかもしれないな。羽田にはお見通しだな」
優しいその瞳に落ち着かなくなり、私はごまかすように早口でまくし立てた。
「作り笑いでもしないと、そんなに早く出世しないですよね。本当に部長すごく仕事できるし、というか無理しすぎだし……あとえっと……」
思いつく限りのことを言った私を見て、部長は特に何か返事をすることなく、「行こうか」と私に声をかけた。
もう何度目かになるその部長の車の座り心地に、すっかり慣れてしまった自分にも驚いた。