【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「もう少し倒したら?少し狭いだろ?」
私が座ったのを見て、部長は私に視線を向けた。

「そうですかね?えっと、どこで?」
倒し方がわからなくて、オタオタしていると不意にすぐそばに気配を感じて見上げると、すぐ目の前に部長のスーツがあり、いつもの香りにくらくらする。

「ここだよ。ここを好きなポジションで止めて」

ドキドキしながら、教えてもらった電動レバーを操作する。

「すごい!電動なんですね!」
そんな事に感動する私を、部長は面白そうに見てきた。

「だって、車なんて東京で到底持つことはできないし、社用車のシートは電動じゃないし……」

「よかった」

言い訳のような私の言葉に、なぜか訳の分からない感想を言われ私は困惑した。

なんでよかったの?

「男の車に乗りなれてないってことだな」
その後に、すこしふざけたように言った部長に、少しバカにされたような気がして、私は部長を睨みつけた。

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