【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「そこの位置でいい?」
「はい」
私はベストなポジションをみつけ、体をシートに埋めた。
そう言うと、また部長は私を通り越して、何やらボタンを操作した。
「羽田は1番な」
「え?」
意味がわからず聞き返すと、部長はその1と書かれたボタンを指さした。
「ここのボタンをおすと、そのシートの位置に勝手になるから。お前専用」
その意味深な言葉に、私の心はざわざわする。
どうして今更そんな思わせぶりな事をするの?
諦めなきゃいけないのに。残酷だよ。
そんな事を思いながら、私はそのボタンを見つめた。
「じゃあ行こうか」
どこへ連れていかれるのか分からなかったが、今までに乗った時とは違う自分の感情と、鼓動に私は小さくため息をついた。