【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「リサさん、誤解してますね」
ギュッと唇をかんだ私に、部長はメニューをパタンと閉じた。
「変わってないな。リサさんも、メニューも店も」
「そうですね」
私は、もう何かを言う気分ではなくなり、部長の言葉を待った。
「沙耶はここのオムライス好きだったもんな」
急に沙耶と呼ばれ、私は反射的に部長を見た。
「あっ、ごめん。でもリサさんの前で羽田とか呼んだらまたリサさんに心配をかけるだろ?」
もっともの様な言葉で私に笑顔を向けると、部長は私を見た。
「はい……」
もちろんそう言われたからと言って、昔のように優悟など呼ぶことができない私は小さく頷いた。