【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
部長は人気があったから、部長のことを好きな子にでも嘘を言われたのかもしれない。
「沙耶には、他にも付き合っている男がいるって、写真を見せられた。だから信じてしまった」
「写真!!??」
「ああ、なんていうか……」
その濁した言葉で、よっぽど疑いたくなるような写真だったのだろう。
そしてあの頃の私は、部長以外の男の人と近距離で話す事すらなかったのだから、合成か何かだと思う。
それだけは自信があった。
でも……。
そんな写真を見たのなら、部長は私の事を信じてくれたのだろうか?
そんな疑問が持ち上がる。
目の前には運ばれてきた、ハンバーグやグラタンが並ぶ。懐かしいおいしそうな香りに私は昔のように、お皿に取り分けると部長の前に置いた。
「ありがとう。いただきます」
こうやってきちんと挨拶をするのは、今も昔もかわらない。きちんと育ったのだろう。
「いただきます」
懐かしいオムライスにスプーンを入れると、コロリと上にのっていたグリーンピースが転がった。