主任、それは ハンソク です!
「酒が入るって恐ろしいな。普段なら冷静に流せるし、頭下げて済むことなら、そんなものいくらでも下げるんだけど」
なんでしょう、変な汗、出てきた。
「あまりな物言いに、つい、ヒートアップ、してしまった、もんだから」
……ひ、ひーと、あっぷ。
「ヨーコさんのご家族が俺に言ってきたことは、至極全うな言い分で、もちろん俺の方に充分非はあったから、最初は、謝る気満々だったんだ」
……えーっと。これって、もしかして。あの人たち、主任の地雷、踏んだ?
「でもな、あっちの一方的な言い分を聞いてるうちに、だんだん、こう、腹が立ってきて、……だな」
主任が目を眇めた。やっぱり、何かとんでもなく失礼をやらかしたんだ、あの人たち。
「すみませんでした、主任。あ、あの、うちの家族って、自分の考えこそが一番正しいって人たちでして、それがたとえ公序良俗に反するようなことでも、あくまでも自分たちの言い分が、基準で絶対、なんです」
私の呻くような言い訳に、主任が目を見開いた。