主任、それは ハンソク です!
「今、俺の言ってる事が意味不明だとか思わなかったか?」
ギクリと体がこわばった。……図星、です。
「それ自体が既に、家族の良いように刷り込みされてるって、わかってる?」
「……すり、こみ?」
徐に腕組みすると主任は、仏頂面で、ああ、とだけ返事した。
「でも、その、私は……」
確かに家を出たいとは散々思ってきたし、できることなら、今のこの瞬間だってそうしたいと思ってる。でも、あの人たちは、私の相手に入り婿を希望しているし、万が一、奇跡が起きて、あの家から出られるんだとすれば。それは、あの人たちが決めてきた相手に嫁ぐくらいしかないだろう。
それ以前に、家からどんなに逃げたくても、私の給料も貯金も、あっちが管理しているから、逃げるための資金もない。普段使いのお金でさえ、一々申告して貰っているなんて言ったら、主任は絶対呆れるだろうな。
そんな状態だから、自力で出るなんて選択肢は正直、思いつきもしなかった。
「まぁ、決めるのはお前さんだ。俺がとやかく言うことじゃない」
主任がしっかりと私の目を見た。