主任、それは ハンソク です!
「なんだこれ?」
それは久住先輩や極々仲の良い人たち専用のメモ用紙。四コマ漫画仕立てで、スーパーダイヤスのゆるキャラ・ダイちゃんの吹き出しに要件が入れられるようになっている。
最初これを見た久住先輩は、暇なの? 馬鹿なの? とやっぱり呆れていたけど、今ではこのシリーズのメモで要件を渡さないと口をきいてくれなくなった。
「鈴原主任、得野さんってホント、手先が器用なんですよっ!」
隣の課の女子社員さんが椅子をクルリと回して参戦してきた。
彼女も鈴原ファンクラブの会員なんだろう。
そう、鈴原主任は女子社員に絶大な人気を誇っている(やっぱり人は見た目が第一なのかもしれない)。それゆえ、抜け駆けは許さないとばかりに、社内には「鈴原ファンクラブ」なるものが暗黙で存在している。
でも、私は正直苦手。なんだかクラスの人気者リーダー男子を彷彿とさせて。
「見て下さい、これ。裏紙で、ちゃちゃっとこんなペーパーフラワー、作ってくれるんですよぉ」
そう言って指差すのは、彼女の机の端にちょこんと置かれた折り紙の梅の花。
彼女宛ての電話連絡が急ぎの懸案だったから、他のメモ紙に埋もれないよう、ちょっと目立つように添えたもの。可愛いと言って、ずっと大事に飾って置いてくれているのが嬉しい。