主任、それは ハンソク です!

                   *

「……やっぱり無理だよ」
「んが?」

 久住先輩が、お弁当を貪るその手を止めて私を見た。

 お昼休みの電話当番の久住先輩に付き合って、私は久々に商品課のブースに居る。フロアにはまばらに人影があるけど、私たちの周囲には誰もいない。

 私は例のコンペ話が頭に渦巻いて、ちっとも箸が進まない。

「無理って、なに、デザインコンペのこと?」

 図星の一言に思わず体を強張らせると、先輩がニンマリ笑った。

「いやさっきさぁ、常務に書類届けに行ったら、大将軍のメモが机の上に乗っててさー」

 そういうのも抜け目なく見るんだ、この人は。

「……ええ、まぁ」

 しぶしぶ同意すると、あー、まー、ねー、と何とも微妙な返答をしてくる。

「ああいう大手のコンペってさ、んぐ、いろんなところから、あぐ、応募が、ごく、来るんだけどさ」

< 123 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop