主任、それは ハンソク です!
「そうそう、伊東さんと言えばね。あなたのこと、すごく気に入ってくれたみたいよ。しかもね、お見合いはあくまでも切っ掛け。最終的にはきちんと恋愛して結婚したい、って言ってるんですって」
ああ、そういうことね。要は、職場にお見合い結婚だと知られたくないだけ、か。
しかも私の感情は一切関係なく、相手の胸先三寸で決まっていく、なんて。主任の言う通り、私は人ではなくて物レベルだ。
「美容室の予約も入れてあるから」
視線を外したまま軽くうなずくしかできない私は、気まずいままサンドイッチに手を伸ばす。
今日の辛子マヨネーズは効きが一段と強くて、辛いを越して苦くすら感じた。
* * *
「おー、なかなかいい感じじゃないか」
「……そ、そう、ですか?」
うん、悪くない、とデザインコンペ用のポスターのたたき台を眺める主任を前に、私は居たたまれない気持ちになっていた。
たぶん、それの結果が出る前に、私がここを辞めていることを、ちゃんと主任に言わないといけない。