主任、それは ハンソク です!
「あぁ、いや。高校の時、付き合ってた子が美術部でな。陶芸やってるヤツだったんだが、ボツにしたカップが俺的には結構よさげだったから、ほしいって言ったら、すごい罵声を浴びせられてだなぁ」
「……は、はぁ」
「そういうデリカシーの無さが嫌いって言われて、あっけなくフラれた」
うーん、それはちょっと極端だけど。でもなんとなく、その子の言い分はわかる気がする。人にあげるなら、やっぱり良いものを上げたい。まして、好きな人なら、なおのこと。
「……あの、ボツはどうしてもボツなんで、見せたくはない、ような」
少し困った顔でガシガシと頭を掻きながら、それもそっか、とつぶやく主任が少しだけ可愛く見えた。
「すまないがこれから一件、打ち合わせが入ってる。その後、昼飯でも食いながら詰めるとするか」
「ひる、飯……ですか」
弁当、持ってきたとか? と言われて、ブンブンと頭を横にふる。くすっと笑われたけど、以前みたいな不快感は全くない。それだけ、主任を身近に感じだしたから、かもしれない。
「……主任が帰ってくるまで、待ってます」
主任が満面の笑みで出かけるのを、私も精一杯の笑顔で見送った。