主任、それは ハンソク です!

                  *

 ……まさか、ここ、とは。

「どうした。青い顔して」
「ああっ、いえ……」

 会社の近場でランチかと思いきや、よりにもよって、プラザホテルの胡蝶庵とは思いもよらなかった。しかも。

「まぁーた奉書焼? バカの一つ覚えみたいにさぁ」
「ちょ、ちょっと! カジタツさんってばっ」

 なぜかそこには、男装の麗人もかくやと言わんがばかりに。びしっと紳士服の三つ揃えスーツに身を包んだ、アジアンビューティーこと梶山多津巳さんと、彼女の言動にあたふたしている小動物系の可愛らしい女性。

 それと。

「俺は好きですけどねぇ、奉書焼。地元の誇る逸品って感じが、また良くてさ。しかも、鱸の身、ふわっふわだし」
「でも、地元の人だって、会席ぐらいでしか食べないけどね」

 意外なカップル、清住夫妻も一緒だ。

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