主任、それは ハンソク です!

 驚愕の一言に、私は主任を咄嗟に見る。
 主任は私と目が合うと、すぐさま俯いてしまった。心なしか主任の肩が、震えているように見える。もしかして、笑ってる?

「はぁい、キヨスくぅん、説明っ!」

 妙なハイテンションでアジアンビューティ……、ああもういいや、カジタツさんが清住さんにパスを回した。

「えー、俺ぇ? ってか、そもそもカジタツ先輩がそんな面倒くさいことするから、こんな事になってんですよ」

 あからさまに嫌な顔をする清住さんだけど、元の顔の作りが綺麗だから、嫌そうな顔でも不快感が無い。美男美女って得だな、とつくづく思う。

「……私も、ちょっと気になるな。梶山さんの女装のわけ」
「え、ミチルさんまで? しょうがないなぁ、って言っても、どこから話せばいいんだろ」

 そして何より、奥様の鶴の一声に右往左往する清住さんが新鮮で、しかも何だかほほえましい。

「……夫婦、か」

 つい、胸の内の声が呟きになって漏れた。

< 137 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop