主任、それは ハンソク です!
東吾さんと出会って、私は本当に驚くほど変われた。運だって良くなったような気がする。
東吾さんに言わせれば、今までが酷かったんだから、これくらい当然、らしいけど。
「そうだ。再来週のお袋と姉貴たちの件だけど、ホントに任せて大丈夫か?」
「はい。……自信はないけど、でも私も、もっと皆さんと仲良くなりたいって思ってるので」
今回の東京行の中には、しっかり、東吾さんのご実家へのご挨拶というのも入っていた。
私的には一番これがきつかったけれど、当日はサプライズよろしく、佐野ご夫妻も同席してくれたからかなり安心できたし、何よりも、東吾さんのご家族皆さんがとっても温かく迎えてくれたから、かえって拍子抜けしたほどだ。
「折角こちらにお越しになりたいって、いってくれたんですから、精一杯あちこち案内します」
まぁ、そういうなら仕方ないけど、とつぶやきながら東吾さんが手酌でグラスにビールを注いだ。
最初の頃は、お酌しなくちゃと慌てたけれど、東吾さんはどうも自分のペースで飲みたい人のようで、そういうことは一切しなくていいから、と言われた。