死にたがりな彼女


「さぁ、皆様おまたせ致しました!今から死刑囚の裁きを始めます!」



その声に共鳴するように、円を作っていた群衆は思い思いの気持ちを妙な叫び声一つに託し、叫んだ。


煩い。


ソウェルはそんな声も聞かずに、何が始まるのかと、目の前の丸く開けられたスペースを眺めている。


その円の中心には、十字架が立っている。


倒れないようにしっかりと固定されていて、その下には藁のようなものが敷き詰められていた。


そこへ、薄汚い布を身に纏った女が現れた。


それと同時に、観衆は怒声を放ち、石や木の枝、酒瓶などを投げつける。


とばっちりを受けた太った司会者は「ストップストップ!」と慣習を宥めている。


その女の手と足には枷のようなものが付けられていて、歩くたびにその鎖がジャラジャラと不穏な音を鳴らした。



「この女は魔女です!なんとこの女はあろう事かこの街のマドンナ、今年のミス・メルヴィーに輝いたジュリエッタを呪い殺そうとしたのです!可哀相なジュリエッタは今でもまだ病院で辛い呪いと戦っています!」



ソウェルは目を見張る。


観衆の女への非難の声に混じって、僕は溜息をついた。



「あの人は普通の人間よ、魔女じゃない」



「だけど皆は、そうしたいらしい」



女の枷が外されて、巨大な男によって十字架へ括りつけられていく。


女は全てに絶望したような表情で、何の抵抗も見せない。




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