君と永遠に続く恋をしよう
実は、カサブランカは母が好きな花の一つなんだ。
兄はそれを知っていて、毎年母の誕生日にはカサブランカのブーケを贈ってた。
「どうぞ、奥へ」
彼を先導しながらリビングへ向かい、しみじみ兄は何でも彼に話してたんだな…と思い知った。
ドアを開けて一角に設けた簡易の仏壇の前に着くと、彼はぎゅっと唇を噛み締め、遺影を見つめる。
「賢也…」
言葉少なく名前を呼び、写真の兄をもう一度眺めてからロウソクと線香に火を付けた。
手を合わせて拝みながら彼が何を思ってたのか。
私には分からないけど、項垂れてた頭を上げる相手に向かい、「どうもありがとうございます」とお礼を言った。
「貴方が来てくれて、兄は喜んでると思います」
喫茶店での憎らしさは何処かに消え、心から感謝する気持ちを伝えた。
「そうかな」
桜庭さんは兄の遺影を見つめながら呟き、遅すぎだよな…と独り言を言う。
しょんぼりと肩を落とす彼が寂しそうに見え、つい慰めたくなってしまった。
そこへ母がカサブランカを生けてきて、兄の遺影の側に飾った。