君と永遠に続く恋をしよう
「賢也、これ桜庭さんが持ってきてくれたのよ」


母はそう言うと彼を振り返り、本当にありがとうございます…とお礼を重ねる。それから彼に笑いかけ、思い出したのよ…と話し出した。


「確か、桜庭さんて一級建築士の資格を持ってる方よね。生前賢也が話してたの。友人の一人が大した人で、有名な建築家なんだって。
それで、この家が古くなってガタついてきたら、その人に頼んでリフォームして貰えばいいなって笑ってたの」


うっかり忘れててごめんなさいね、と謝る母に、桜庭さんは照れながら「いいえ」と首を横に振る。
母はそんな彼に気を良くしたのか、こんな提案をした。


「今夜は折角来て下さったんだから、一緒に夕食を食べて帰られませんか?主人も間もなく帰ると電話がありましたし、賢也の話もゆっくりと伺いたいし」


いいでしょ?と訊ねる母に彼は少し困惑気味だ。
私もさっきの話を持ち出されては困ると考え、お母さん…と声をかけようとしたんだけど__



「お言葉に甘えさせて頂きます」


さらりと答える彼を振り返る。
兄の遺影をちらっと見た桜庭さんは、それを賢也も望んでるだろうから…と了承した。


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