君と永遠に続く恋をしよう
「じゃあ決まりね。直ぐに用意をしますから、あちらで少し待ってて下さい」


ソファの方を見遣り、母は嬉しそうに立ち上がる。
桜庭さんはそんな母の姿を見つめながら口元に笑みを浮かべ、私は彼の横顔を眺めたまま胡散臭そうに声をかけた。


「……ねえ」


声を発すると彼の端正な横顔が振り向く。
思わずドキッと心臓が跳ね、一瞬たじろいでから言葉を続けた。


「さっきの話、此処では言わないでよね」


兄が私の恋人になってくれないかと彼に頼み、この人がそれを間に受け、付き合ってる…と両親に言われたら困る。



「どうして」


彼はそう言うながら意地悪く微笑む。
私は「だって」と声を上げそうになりながら、「だけど、まあそうだな」と呟く彼にホッとした。


「今夜は言わないでおくよ」


「今夜は!?」


驚いてお尻を浮かすと、彼は「ああ」と頷いて遺影を振り返る。


「今日は賢也のお参りに来たんだ。ご両親とも初対面だし、それなのに、いきなり大事な娘さんと付き合ってます、と宣言したらおかしいだろ」


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