君と永遠に続く恋をしよう
「うん、それもあるんだけど、晩酌の相手がいなくなったもんだから詰まんないみたいで」


「お気の毒に」


「でも、お酒の量は減って、前よりかは健康的でいいですよ」


「そういう考え方もあるのか」


「何でも良いように捉えないと勿体無いですからね」


生きてるのが……と笑いながら、トンカツを食べ続ける。

元々前向きで明るい性格の私は、兄の死を機に、更に前向きに生きようと決意してた。


命はいつ尽きるか誰にも分からないんだ。
ならば、やりたい事をやって、食べたい物を食べておかないとつまんない。



「ところでさ、午前中は来なかったわね」


「誰がですか?」


「昨日奈央ちゃんを訪ねてきた人」


「ああ、さっき言ってた超絶イケメン?」


「また近いうちに来ますって言ってたのに、今日は来ないのかしら」


サンドイッチを摘みながら、角川さんは残念そうに「あーあ」とこぼす。


「そんなに待ってても、もしかすると私じゃなくて、別の『緒方奈央』さんに用事があったのかもしれないじゃないですか」


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