皇帝陛下の花嫁公募
 でも……今はそんなことさえ考えられなくなっていた。

 王女としての責務がある。それは嫌というほど判っているのに。

 あの広大な湿地帯をなんとかして活用したい。あそこで育てられる作物はないのだろうか。もしくは、作物を育てる土地として改良したい。

 農作業に関わってきたからこそ、国のためにできることがあるなら協力したいと考えてきた。

 でも、今のわたしは恋のために普通ではなくなってしまっている……。

 彼はリゼットの手の甲にキスをしてきた。

 彼の唇の感触がまた自分の中に残っていく。

 もう会ってはいけない。

 でも、会いたいの!

 リゼットは彼が去っていく姿を見守りながら、恋する気持ちと戦っていた。
< 100 / 266 >

この作品をシェア

pagetop