皇帝陛下の花嫁公募
 女官の声が聞こえてきて、リゼットは背筋を伸ばした。そして、すっと立ち上がった。

「お母様、今までありがとう」

「大丈夫。あなたは必ず幸せになれるわよ」

 身を屈めて、母妃にベールを下ろしてもらう。そして、二人で一緒に赤い絨毯の前で待つ父王の許へと向かった。

「リゼット、今日は本当に綺麗だよ」

「今までありがとう、お父様」

「おまえが最高の相手と巡り合ったと信じているぞ」

 思わず泣きそうになるが、花嫁が泣くのはよくない。これから幸せになるのだから、泣いたりできなかった。

 孤児院の女の子が可愛いドレスを着て、ベールや裾を持ってくれることになっている。リゼットは自分の小さな妹達のことを思い出して、微笑んだ。

 祭壇の前にはアンドレアスが立っている。

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