皇帝陛下の花嫁公募
 手袋を再びつけると、キスを促された。

 ベールを上げられ、今度ははっきりと彼の笑みが見える。

 彼はリゼットの肩に両手をかけて、優しくキスをしてきた。拍手が鳴り響いたが、リゼットはすっかり夢見心地だった。

 結婚証明書にサインをして、やっと結婚したという実感が湧いてくる。

 続いて戴冠式がある。

 リゼットはアンドレアスと同じような豪華なマントをつけられた。これも裾がとても長いものだが、特別な儀式でもない限り、そんなに身に着けるものではないという。

 大主教の前に屈むと、妃の冠が頭にそっと載せられる。宝石がたくさんついているので、かなり重たいものだ。

 アンドレアスの花嫁になれるのは嬉しい。けれども、やはり皇妃になるのは少し怖い。

 私は立派な皇妃になれるかしら……。

 立ち上がって、アンドレアスの隣に寄り添うように立つと、祝福の拍手が湧き起こった。

 わたしは今からヴァンダーン帝国のアンドレアス一世の妃となったんだわ……。

 リゼットはなんとか微笑みを浮かべた。
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