皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットは落ち着かない気持ちで居間のほうに向かった。自分専用の書き物机など初めてなので、引き出しを開けてみたり、そこに座ってみたりする。

 ここにアンドレアスの肖像画を置いたら、いつでも一緒にいられる気がするのに。

 リディアは次第に広い部屋に一人きりでいるのが淋しくなってきた。アンドレアスと一緒にいられたら、どんな部屋だろうと淋しくないだろう。だが、彼も忙しい身だから、いつもここには来られないかもしれない。

 アロイスは毎夜来てくれたのに……。

 だが、あのときは人目なんてなかった。今は皇帝と皇妃として同じ建物の中にいながら、別々の部屋にいて、しかもどこに行こうが誰かに見られている。

 でも、それが嫌なら、結婚なんてできないわ。

 アンドレアスの妻になりたいなら、それは我慢するしかないのだ。宮殿は宮殿のしきたりがある。後から入ってきた自分はそれに従うべきだった。

 ただ、リゼットは自分の自由が侵されているような気がして、それが怖かった。すぐに息苦しくなっていくのではないだろうか。耐えられなくなるかもしれない、と。

 いいえ、そんなことないわ!

 アンドレアスのためなら、なんでも我慢できる。彼が望むとおり、彼の子供をたくさん産んで、幸せな家庭を築くのだ。
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