皇帝陛下の花嫁公募
 そう決心したとき、扉がコツコツと叩かれた。それはアロイスが窓を叩く音に似ていて……。

「はい、あの、どうぞ」

 リゼットが返事をすると、扉が開いた。

 アンドレアス……!

 彼は白い軍服のままで、宴からまっすぐここに来てくれたようだ。リゼットは立ち上がると、彼の傍に近づく。

「ごめんなさい。わたしだけこんな格好で……」

「いや、そんな君も可愛らしい」

 彼はリゼットを優しく抱き締めた。波立っていた心は彼の温もりで落ち着き、リゼットはこの上ない幸せを感じた。

「今日は疲れただろう?」

「ええ。少し……。招待客が多いのは判っていたけど、みんなに見られていると緊張するし……。わたし、何か間違ったことしなかった?」

 結婚式の手順については、何度も練習したのだが、本番には緊張してしまった。

「いや、何も。たとえ間違ったとしても、誰も君に文句をつけない。君は皇妃なんだから」

 そういうものなのだろうか。だが、面と向かって言われなくても、隠れて言われてしまうかもしれない。もしくは、聞こえよがしに言われることもあり得る。

 今日だって皮肉を言われていた。『田舎の国の王女様』と。
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