皇帝陛下の花嫁公募
 翌朝、リゼットは満ち足りた気分で目が覚めた。

 昨夜はとても素敵な夜だった。二人は何度もキスを交わし、いつしかベッドに入っていた。

 夜着を脱がされたとき、少し恥ずかしかったけれど、彼にならすべてを見せてもいいと思った。彼はベッドでも優しくキスをしてくれて……。

 あれが本当に夫婦になるってことだったんだわ。

 リゼットは彼としっかり肌を合わせて抱き合ったことを思い出していた。

 その後もとても気遣ってくれて……。

『今夜、私もここで眠っていいかな? 君を抱いて眠りにつきたいんだ』

 もちろんリゼットに異存はなかった。

 彼の温もりに包まれながら、幸せいっぱいで眠りについたのだった。

 リゼットはアンドレアスに話しかけようとしたが、ふと自分が一人で寝ていることに気がついた。

「えっ、嘘!」

 驚いて身を起こしたが、部屋には誰もいない。リゼットの夜着とガウンが椅子の上に置いてあるだけで、彼が脱いだものも消えていた。

 つまり、彼は夜のうちか明け方に目が覚めて、リゼットを起こさずに部屋を出ていってしまったのだ。

 なんだか淋しい……。

 できれば一緒に目覚めたかったのに。

 しかし、我儘は言えない。彼は皇帝だ。ひょっとしたら皇妃の部屋には泊まらないしきたりでもあるのかもしれない。

 リゼットは気を取り直して、夜着とガウンを身に着けると、部屋の隅にある紐を引っ張った。ほどなくしてナディアが紅茶を持ってやってきてくれた。
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