皇帝陛下の花嫁公募
 アンドレアスはリゼットを気遣って、起こさずにいてくれたのだろうが、できれば起こしてほしかった。軍隊についていくわけにはいかないが、それでもせめて無事を祈っていることを伝えたかった。

「大丈夫ですよ。いつもの小競り合いに決まってますから。もう何度もこんな角を突き合わせては引いていくようなことを繰り返しているそうですよ」

「それは聞いたことがあるけど……」

 新婚早々、頼りにすべき夫がいきなり消えてしまって、心細いという気持ちもある。とはいえ、どのみち、彼には皇帝としての仕事があるのだから、昼間はあまり一緒にいられなかったに違いない。

 いつも妃とばかり過ごしていて、仕事も放棄している皇帝なんて、リゼットも嫌だ。リゼットはアマーナリアの王女として義務を果たそうと努力していたこともあり、皇帝としての義務をどんなことより優先してもらいたいと考えている。

 彼の肩には、この強大な帝国の運命がかかっているのだから。

 とにかく、わたしがすべきことは皇妃としての務めに慣れることよ!

 アンドレアスが帰ってきた頃には、宮殿に慣れて、いろんなことが取り仕切れるようになっていたい。

 リゼットは紅茶を飲み干し、早速、身支度を整えることにした。
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