皇帝陛下の花嫁公募
「まず、お子様がお生まれになりましたら、乳母がすべて面倒を見ることになります」

「でも、アンドレアスはそうは言ってなかったわ。自分の子を乳母に任せきりにはしたくないと……」

「これがしきたりですから!」

 強い口調で言われたが、リゼットは承服できなかった。恐らくアンドレアスも同じだろう。

「そして、恵まれない者達へのお心遣いは立派ですが、皇妃様のお仕事ではありません。謁見は……皇妃様に謁見を申し出る者があれば……というお話ですね」

 つまり、リゼットにはわざわざ謁見を申し出る者はいないという意味だ。

 でも、そうかしら……?

 母妃のところには、国王は関わらないような小さな問題がいつも持ち込まれていた。他には、城でいろんなものを買ってもらいたい商人などがやってきていた。

 アマーナリアのような小国とヴァンダーンのような大帝国は規模が違うから、母妃がやっていたような仕事は、誰か他にする人がいるのかもしれない。

 そもそも、アンドレアスの母親は早くに亡くなっていたから、他にその役を担っている人がいるとも考えられる。

「それでは、わたしは何をすれば……」

「刺繍でもなさいませ。それとも、お得意の弓でも練習なさればいいのです」
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