皇帝陛下の花嫁公募
 明らかに馬鹿にしたような笑みを見せている。女官長がここまで皇妃に対して嫌味を言うのは、単にリゼットが気に食わないというだけでなく、何か理由があるはずだ。

 たとえば、後ろ盾がいるとか……。

 リゼットはかつて皇女だったアンドレアスの叔母がいたのを思い出した。公爵夫人と呼ばれていて、恰幅のいい中年の女性だった。リゼットに紹介されて、笑みは浮かべていたものの、あまりいい印象ではなかった。

 彼女は未亡人で、この宮殿に住んでいるらしい。彼女の長男のゲオルグはアンドレアスより七歳下らしいが、軍服ではなく、いかにも貴族といった服を着ていて、リゼットの目からはひ弱に見えた。

 アンドレアスは彼女達を『家族』のようには思っていないようだったし……。

「では、わたくしは忙しいので、これで……」

「もうひとつだけ答えて。公爵夫人はどちらにいらっしゃるのかしら」
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