皇帝陛下の花嫁公募
「まるで女帝じゃないの」
「そうさ。皇帝陛下はそういった細々したことは関知していない。誰かに命令すれば、それが実行されるから。もっぱら政治と軍事にしか興味がない。……あ、いや、リゼット様のことは別だけど」
テオの気遣いに、リゼットはにっこり笑った。
「予想以上に権力を握っているみたいね。わたしのことがお気に召さなくても仕方ないかもしれないわ」
「ところが、もうひとつ裏がある」
「裏って?」
「リゼット様を嫌う裏の理由さ。彼女の息子で、ゲオルグっていう奴を知っているだろう?」
「ああ、あの嫌な奴!」
ナディアが口を挟んできた。
「あいつのリゼット様を見る目つきときたら! 皇帝陛下は戦場に向かったというのに、あいつは宮殿内でのうのうとしているのよ」
リゼットもそれに同意した。軍隊に向き不向きがあるとは思うが、ゲオルグは一日中、女官をからかったり、街に繰り出して遊んでいるだけなのだ。
「ゲオルグは現時点で陛下の跡継ぎなんだ」
「えっ……」
リゼットは言葉を失い、ナディアと顔を見合わせた。
「それって、つまり……」
「公爵夫人はこのままなら息子が皇帝になり、名実共に権力者となる。今までは陛下に面倒くさい政治や隣国とのいざこざを押しつけられて、自分達はおいしいところだけ持っていけた。ところが、結婚して跡継ぎが生まれるとなると、話は違う。君の権力は増し、すべてを失うことになるわけだ」
「そうさ。皇帝陛下はそういった細々したことは関知していない。誰かに命令すれば、それが実行されるから。もっぱら政治と軍事にしか興味がない。……あ、いや、リゼット様のことは別だけど」
テオの気遣いに、リゼットはにっこり笑った。
「予想以上に権力を握っているみたいね。わたしのことがお気に召さなくても仕方ないかもしれないわ」
「ところが、もうひとつ裏がある」
「裏って?」
「リゼット様を嫌う裏の理由さ。彼女の息子で、ゲオルグっていう奴を知っているだろう?」
「ああ、あの嫌な奴!」
ナディアが口を挟んできた。
「あいつのリゼット様を見る目つきときたら! 皇帝陛下は戦場に向かったというのに、あいつは宮殿内でのうのうとしているのよ」
リゼットもそれに同意した。軍隊に向き不向きがあるとは思うが、ゲオルグは一日中、女官をからかったり、街に繰り出して遊んでいるだけなのだ。
「ゲオルグは現時点で陛下の跡継ぎなんだ」
「えっ……」
リゼットは言葉を失い、ナディアと顔を見合わせた。
「それって、つまり……」
「公爵夫人はこのままなら息子が皇帝になり、名実共に権力者となる。今までは陛下に面倒くさい政治や隣国とのいざこざを押しつけられて、自分達はおいしいところだけ持っていけた。ところが、結婚して跡継ぎが生まれるとなると、話は違う。君の権力は増し、すべてを失うことになるわけだ」