皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットは背筋がゾクリとした。

「わたし……嫌われるどころか、命を狙わねかねないってことかしら」

 自分だけならまだしも、そんな状態では子供の命が危ない。

「そうだな。食事には気をつけたほうがいい」

 ナディアが決心したように拳を固めた。

「これからお食事は直接わたしが厨房から運びます!」

 テオはちょっと笑った。

「料理長は、わざわざ厨房にやってきて声をかけてくれたリゼット様に大感激しているそうだぞ」

「あれは探険していて、たまたま厨房に迷い込んでしまっただけなのよ」

 ついでだから見学をしてみた。どんなふうに調理されているかを見て、自分にはどきそうになかったら、料理人達を褒めたのだ。彼らはまるで魔法のように料理を作り、美しく盛りつけていく。褒めずにはいられなかった。

 ナディアが急に思い出したように話し始めた。

「そういえば、下働きの女の子がリゼット様を慕っているんですよ!」

「あら、どうして?」

「湯浴み用のお湯を運んだら、リゼット様がお礼を言ってくださったからって」

「……当たり前じゃないの? お湯を運ぶのは重労働よ。そもそも、そんな力仕事は年端もいかない女の子にさせないわ。宮殿のしきたりか何か知らないけど、絶対反対よ!」

 自分の意見を言っただけなのに、ナディアとテオは顔を見合わせて笑った。

「え、何?」

「いえ、リゼット様らしいなあと思ったんですよ」
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