皇帝陛下の花嫁公募
 もっとも、何を着ていようが、アンドレアスはリゼットを選んでくれたことだろう。公爵夫人がどんな横槍を入れようが、関係なかったに違いない。

 いや、ひょっとしたらすでに何か横槍を入れられたのかもしれない。リゼットを公爵夫人と会わせるときに、微妙な空気になっていたから。

「公爵夫人とゲオルグは何を仕掛けてくるか判らない。食事には気をつけたいな。俺もナディアも」

「わたし達も?」

 ナディアは目を丸くした。

「ああ。俺達に何かあったら、リゼット様は一人になる。誰かを仲間に抱き込むにしても、心からの忠誠を誓えるのは俺達だけだ」

 確かにそうだ。この宮殿で公爵夫人の力が強大だと判った以上、彼らも自分達の身を守らなくてはならない。

「この際、アマーナリアから応援を呼んだほうがいいかもしれないわね。手紙を書くわ。ちゃんと届けられる人はいるかしら」

「リゼット様のお祖父様に頼んだらどうでしょう。リゼット様の命が危ないと聞けば、きちんと手配してくださると思います」

 ナディアの意見にリゼットは大きく頷いた。せっかく皇妃となった孫娘が命を落としたら、商売に差し障りがあるから協力してくれることだろう。

「では、お祖父様のお屋敷を訪ねていくことにするわ」

「俺は夜の間、リゼット様の部屋の前で番をしよう。昼間は直接何かしてくれということはないだろうが、ナディアに頼む」

「リゼット様、お任せください!」

 ナディアもこんな陰謀に巻き込まれて怖いだろうに、健気にそう言ってくれる。

「ありがとう、二人とも!」
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