皇帝陛下の花嫁公募
 エミールは気持ちのいい部屋で母親の看病を受け、薬を飲み、栄養のある食べ物を摂った結果、次第に元気を取り戻してきた。

 やがてアマーナリアから派遣された人達が着き、彼らは祖父の使用人と共にリゼットの側近として働いてくれることになった。

 そして、嬉しいことに、隣国と小競り合いに片が付いたようだ。一人の死人も出すことなく、国境から向こうに敵を追いやって、アンドレアス率いる軍が帝都に帰ってくることになったと伝令が来た。

 やっと……やっとアンドレアスに会える!

 新婚早々、離れ離れになってしまい、リゼットは彼が恋しくて仕方なかった。

 リゼットが下働きの子を助けた話は、ナディアが予言したとおり宮殿中の噂になっていて、宮殿巡りをしているとよく声をかけられるようになっていた。テオに言わせると、この件で女官の中にもリゼットを見直したという者もいるらしい。

 反対に、田舎の王女様だから身分の低い者と心を通い合わせることができるのだと言い触らしている女官もいるという。どちらにしても、女官は公爵夫人になかなか逆らえない状況があるのだから、面と向かって味方してくれる人はいないと思ったほうがいいだろう。

 だが、アンドレアスが帰ってくれば、状況が変わってくる。なんといっても、皇帝なのだ。彼に力添えしてもらえば、宮殿内を変えられるかもしれない。
< 198 / 266 >

この作品をシェア

pagetop