皇帝陛下の花嫁公募
 軍隊は帝都の東西南北に基地があり、今回は東と西の軍が出撃していた。アンドレアスはそれぞれの場所で兵士達の労をねぎらった後、近衛兵を率いて宮殿に戻ってきた。

 彼らは拍手と歓声で迎えられた。知らせを受けたリゼットは慌てて外にでていく。

 アンドレアスの軍服は際立って素敵だが、近衛兵の軍服は他の兵士に比べると華やかで、迎えに出た女官達は彼らを見て溜息をついていた。ナディアも同じような溜息を洩らしているのに気づき、彼女の『いい人』は近衛隊の中にいるのかもしれないと思った。

 やがて近衛兵に守られたアンドレアスの姿が見え、リゼットは目頭が熱くなってきた。

 やだ。泣きそう。

 こんなに嬉しいときに涙なんて流したくないけれど、彼が無事に帰ってきてくれたことと久しぶりに顔が見られたことに対する喜びで胸がいっぱいになって、自分でどうすることもできなかった。

 アンドレアスが手を挙げてみんなに応えると、地鳴りのように歓声が大きくなった。彼は辺りを見回していたが、リゼットを見つけて微笑んだ。

 リゼットは堪えきれずに涙を零してしまう。
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