皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットはいつも一人で食事をしていた。

 今夜は二人きりで夕食を楽しめると思っていたのに、急遽、慰労会が行われることになり、近衛兵達と宴を囲むことになってしまった。

 いや、もちろん兵士達は大変だったのだし、慰労するのは当たり前といえば当たり前なのかもしれない。アマーナリアは争いのない国だったので、軍隊が出動することなど滅多になく、慰労会なんて思いかなかった。

 そう。この慰労会をすることを提案したのは、公爵夫人だったらしい。

 慰労会の席で、本人がわざとらしくリゼットに当てつけるようにそう言ったからだ。

 当てつけられたと思うのは、被害妄想みたいなものだろうか。けれども、彼女はリゼットのほうをちらりと見て、こう言ったのだ。

『お若い方はこういったことを思いつかなくても仕方ないわね。何事も経験が足りませんから』

 しかし、思いつかなかったのは事実だ。それは思いやりが足りなかったということでもある。リゼットは落ち込んだ。しかも、アンドレアスに恥をかかせたような気がする。

「気にするな。あの人はああいう嫌味な言い方をするのが好きなんだから」

 隣に座ったアンドレアスに慰められたが、リゼットの心は晴れなかった。
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