皇帝陛下の花嫁公募
 いつの間に用意されたのだろう。テーブルの上には、たくさんの料理と酒が並んでいる。近衛兵達は身分の高い男性ばかりだが、酒が入ると、やはり陽気になっていく。

 なんだか結婚式のときの祝宴みたいだわ……。

 あのときも、リゼットはアンドレアスと早く二人きりになりたかった。なんだか二人きりになるのを邪魔されているような気がして……。
 そんなことを思うのは、やはり公爵夫人が怪しいと思っているからなのだろうか。

 でも……慰労会は大事なことだわ。きっと。

 なんでも公爵夫人の陰謀に結びつけてはいけない。考えすぎては、真実に気づけなくなってしまう。

「みんな、お酒を飲むのが好きなのね」

「いや、よく見るといい。飲んでいない者もいる。みんなが酒が好きとは限らないんだ」

 確かにそうみたいだ。アンドレアスは酒を飲むことは飲むが、あまり大量には飲まない。

「それに、節制している者もいる。酒は頭を鈍らせるからな。いつ何時、何があるのか判らないのがこの世の中だ」

「あなたも節制しているの?」

「ああ。皇帝たる者、すべてを冷静に判断し、間違ったことはしてはならない」
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