皇帝陛下の花嫁公募
 それにしても、みんな楽しそうにしている。最初はおとなしく振る舞っていたが、お酒を飲んでいくうちに陽気を通り越して、席を立って羽目を外している者もいた。けれども、今まで緊張して戦ってきて、大変だったからなのだろう。

 ふと、ゲオルグがこっちにやってくるのが見えた。

 というか、いつの間にこの人が慰労会に紛れ込んでいたのかしら。

 ゲオルグはアンドレアスの従兄弟だけあって顔立ちは悪くないのだが、下品な人間性や生活の乱れが立ち振る舞いに出ているような気がする。ナディアが言っていたが、目つきがどうも気に食わないし、生理的な嫌悪感がある。

 しかし、アンドレアスの妃として、露骨に嫌だという雰囲気を出すわけにもいかない。できれば、話しかけてほしくなかった。どこかに行ってほしい。

 そんなリゼットの願いも空しく、ゲオルグは二人の前にやってきた。手には何故かワインの瓶とワインが入ったグラスを持っている。

「新婚のお二人さんは長い間、引き裂かれていたわけだから、今夜は仲良くするんだろうなあ」

 ゲオルグは酔っているのか、顔を赤くしていて、下卑た笑いを発しながらそんなことを口にした。リゼットは眉を潜めそうになったが、アンドレアスは慣れているのか、冷たい眼差しで彼を一瞥した。

「それがどうした?」

「久々の再会を祝ってやろうってわけだよ。これ、特別なワインらしいんだ。さっき給仕の奴が持ってきて、そう言った。お祝いに飲ませてやろう」
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