皇帝陛下の花嫁公募
 栓が空けてあるワインを、空になっているアンドレアスのグラスに勝手に注いだ。それだけでも、リゼットは危機感を覚えたが、リゼットの半分飲み残しているグラスにも注いだのだ。

 これ、大丈夫なのかしら……。

 今までさんざん食べ物や飲み物に気をつけていたのに、あっさりグラスによく判らないものを混ぜられて困惑してしまう。

「さあ、乾杯しようぜ!」

 ゲオルグはワインの瓶をテーブルの上に置くと、自分が持ってきたグラスを掲げた。仕方ないから飲んだふりをしようか。しかし、アンドレアスはこれを飲んでも大丈夫なのだろうか。

 でも、ゲオルグ本人が持ってきたワインで毒殺死なんてことになったら、彼が疑われて大変な立場になるだから、さすがにそんなことをするわけがないわよね。

 リゼットはそう思いながら、グラスを手に取った。

「お待ちくださいませ」

 後ろに控えていたナディアがリゼットの手からグラスを取り去った。

「リゼット様には得体の知れないものを飲ませるわけにはいきません!」
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