皇帝陛下の花嫁公募
 彼女はきっぱりそう言い切った。途端に、ゲオルグが血相を変える。

「得体の知れないものだと? この俺が持ってきたものに文句をつけるもつもりかっ?」

「申し訳ありませんが、リゼット様の大切なお身体を守るために必要なことなのです」

「俺はそんな変なものを勧めたりしない。たかがワインじゃないか!」

 ナディアが何か言い返す前に、アンドレアスが制した。

「まあ、そんな大声を出すな。ナディアはリゼットを守ろうとしているだけだ。だが、少し行きすぎだな。ナディア、私が先に飲んでみせるから……」

 彼がグラスに口を運ぼうとしている。リゼットが止めようとしたが、ナディアのほうが早かった。

「いけません! 毒見ならわたしがします!」

 そう言うが早いか、ナディアは手にしていたリゼットのグラスに口をつけた。

「ナディア!」

 リゼットは慌てて立ち上がったが遅かった。彼女はグラスの中身を一口、飲んでいた。

「どうだ? ただのワインだろう? 毒なんて入ってるわけないじゃないか!」

 ゲオルグが勝ち誇ったのも束の間だった。

 ナディアは口元を押さえ、グラスを取り落す。そして、そのまま床に崩れ落ちていった。
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