皇帝陛下の花嫁公募
 リゼットが声をかけると、彼はリゼットを抱いて、立ち上がった。他の近衛兵達も何があったのか知って、騒然としている中、彼は蒼白になりながら口を引き結び、ナディアを運んでいく。

 彼はナディアの部屋を知っているんだわ……。

 少し衝撃を受けたが、今はそれどころではない。リゼットはアンドレアスのほうを向いた。

「わたしはナディアに付き添うわ。ゲオルグのことはあなたに任せるから」

 ゲオルグは真っ青な顔で床にへたり込んだ。

「俺のせいじゃない。俺のせいじゃ……」

 確かにゲオルグがこんな大勢の前で、自分達に毒を入れたワインを飲ませようとするなんて、どう考えてもおかしいのだが、実際そうなのだから仕方ない。

 リゼットはナディアを抱いた近衛兵の後を追った。
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