皇帝陛下の花嫁公募
リゼット達は門の中に入った。とはいえ、あまりにも簡単に入れてしまい、それはそれでいいのだろうかと少し考えた。スパイに丸め込まれたりしたら、門番の意味はないからだ。
ともあれ、三人は物置になっている部屋に忍び込み、あらかじめ用意しておいた灯りをつけると、暗く狭い通路を静かに歩き続けた。階段が多いから、転んだりすると大変だ。気をつけて歩いていると、先を歩くテオが身振りで皇帝の部屋の隠し扉だと合図する。
耳を澄ましてみるが何も聞こえない。まだ部屋にはいないのかもしれなかった。やがて皇妃の部屋の隠し扉の前に着き、テオが慎重な手つきがそこを開いた。
もちろんそこは誰もいない。しんとしている。
三人は中に入り、隠し扉を閉める。扉は衣装部屋の飾り棚そのもので閉めてみると、そこが扉だったとは判らなかった。
テオは廊下を覗いてみて、また戻ってくる。
「衛兵は立ってない。ここは空っぽということになっているからな」
「よかった。ひどい音を立てたりしなければ大丈夫ね」