皇帝陛下の花嫁公募
翌日から、リゼットは新入りの使い走りの少年のふりをして、時々、用事を言いつけられながら宮殿内をうろうろした。ナディアは掃除婦のふりをしている。テオは見習い衛兵としてやはり使い走りをしているようだった。
それで一日が終わったが、怪しい人物は見つからなかった。
ただ、ひとつ判ったことがある。アンドレアス側もスパイを探しているようだということだ。だから、自分達がスパイと間違われないように、あまり極端な怪しい動きはしないようにしなければならなかった。
もしわたしが捕まったりしたら……。
もちろんアンドレアスに恥をかかせることになってしまう。それに、本気で怒らせて、アマーナリアに強制的に送り返されたりしたら困る。
わたしはアンドレアスを守りたいんだから!
そして、その翌日のことだった。
宮殿のどこかで誰かが大騒ぎしている。
誰かが追いかけ、誰かが逃げている。そんな感じの怒声が聞こえてきた。アンドレアスに何かあったのかもしれない。
リゼットはそちらへと駆けだした。